2012年4月24日火曜日

一病息災|痛風


痛風とは?


痛風は、「エネルギー代謝の調節障害によって生じた高尿酸血症に起因する急性の関節症状を起こす病気」と定義される。
高尿酸血症状態が続くと、体内にある尿酸は溶けきらないで結晶化し、尿酸塩となる。この尿酸塩がもっとも沈着しやすいところが足の親指の付け根。
そのため、最初の痛風発作の70%前後がここから始まる。
なお、10年以上高尿酸血症状態にあると、高い確率で痛風発作を起こすと言われている。

「痛風発作は大事なときほど起きやすい」
これは、ストレスが尿酸値上昇の原因となることがあるから。

このほか、発作の引き金となりやすいのは、激しい運動。 運動をすると、からだの中の水分が減少するため、結果として尿酸の濃度が高くなり、結晶化することになる。
また、運動によって、細胞が壊れ、尿酸のもととなる核酸も大量に放出されるので、ダブルで尿酸の濃度が上がることになる。
スポーツのあとのビールなどもってのほか! ビールの持つ利尿作用でからだの水分はもっと失われ、尿酸を濃くするだけ。
喉を潤すからといって、からだを潤したことにはならない。
おまけにビールには尿酸のもととなるプリン体も多く含まれるので、そういう意味でも厳禁だ。

痛風の痛みは強烈で、尿管結石とともに痛みの双璧と言われている。
じっとしていても耐えられないほどで、心臓が送り出す血液の「ドクン、ドクン」という音、あるいはそばを通るひとが巻き起こす風でも痛みを感じてしまう。
すなわち、「風が吹いても痛い!」のである。
しかし、痛風は痛み自体で生命を脅かすことはない。 むしろ、高尿酸血症に起因する合併症が大きな問題となる。

現在痛風患者は約50万人、痛風予備軍とも言える高尿酸血症のひとは、およそ10倍の500万人で、その大多数は30歳以降の、いわゆる働き盛りの男性とされている。
しかし近年、若年化傾向にあり、20歳代の患者や、以前は見られなかった女性の痛風患者も増えているらしい。
その原因として、食生活の西欧化、ストレスやアルコール、ダイエットなどが考えられている。
今や痛風はぜいたく病ではなく、誰でもがかかる恐れのある生活習慣病である。


たばこを吸うと咳

痛風の治療は、痛みの発作を抑える対症療法と発作の原因である尿酸を管理する尿酸コントロールの二本立て。
発作時はまず整形外科を受診・・・なのだが、その後の尿酸管理を考えると内科のほうがよいかもしれない。
ただ、高尿酸血症の自覚がないと、とりあえずは整形に行ってしまうと思うが・・・
発作は痛風の特効薬「コルヒチン」や非ステロイド系の抗炎症薬の使用、赤く腫れた患部の湿布などの対処で、数日のうちにおさまる。
この時、ビールなどのアルコールは避けたほうがよい。また、食事も、肉類や魚などのタンパク質や脂質より麺類やパンなどの糖質が適している。
さらに、水分を多めに摂ることも大切。尿量が増えることで、尿酸の排泄が促進され、発作が緩和する。

痛みがなくなったら、発作をくり返さないため、合併症を起こさないための治療が始まる。
痛風の根本的原因、高尿酸血症の治療だ。
からだの中の尿酸が増える原因は・・・
1.生成する尿酸が多い
2.排泄機能の低下
3.あるいは両方
が考えられる。

このため、原因により治療法は変わるが、基本はからだの中の尿酸量を正常値に保つこと。
尿酸の生成量が多い場合、ザイロリックなどの尿酸合成阻害剤で尿酸の生成量を抑えたり、尿酸は酸性で結晶化しやすいので、尿をアルカリ性に保つウラリットなどの尿アルカリ化剤を服用することになる。
なお、薬を飲んだからといって尿酸生成システムが正常に戻るわけではない。薬で生成を抑えているだけなので、服用を中止すれば尿酸値は治療前に戻ってしまうことになる。
そのため、尿酸のコントロールは一生涯続く治療となる。

高尿酸血症は早めの治療がとても大切。
早期に治療を開始すれば痛風の激痛に見舞われることもないし、合併症で命を危険にさらすこともない。
そのためには早期発見が必須。

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痛風の原因

痛風は、血液中の尿酸が異常に多くなり、急性関節炎の発作をくり返しながら、痛風結節と呼ばれる関節の腫れを起こし、しだいに腎臓の働きが低下したり、心筋梗塞を起こしたりする病気です。
血液中の尿酸値は、男性で3.5~7.6mg/dl、女性で2.3~6.7mg/dlです。
血液中の尿酸量がこの正常範囲を超えて高い値を示すものを高尿酸血症と呼びます。
この高尿酸血症が痛風の原因になります。
尿酸が何からつくられ、どうして高い値になるかは、複雑なしくみがあるので難解ですが、簡単に述べてみましょう。


骨の足首の両方を骨折化合

細胞の中には、核酸という重要が成分があります。
核酸を構成しているものをヌクレオチドと呼びます。ヌクレオチドのひとつにプリンヌクレオチドがあります。これが尿酸のもとになります。
プリンヌクレオチドは、食べ物の中にある核酸とタンパク質が一緒になって出来たものと、からがの中の核酸が分解したもの、肝臓でつくられたものの3つがあります。
これらをもとにして複雑な反応によって尿酸がつくられ、血液中にはいつも一定量の尿酸があるように、余分な尿酸は尿と便から排泄されます。 そして、尿酸がたくさんつくられすぎたり、尿の中に排泄する腎臓の働きが弱くなったとき、またプリン体を多くとりすぎた時などに高尿酸血症が起こります。

しかし、高尿酸血症=痛風ではありません。
血液中の尿酸値が10mg/dl以上で、しかもこの状態が長く続くと痛風が起こってきます。

【経験則】
高尿酸の原因のひとつプリン体が、貝や卵、肉などに含まれることから、今でも、ぜいたく病と言われがちだが、食品から摂るプリン体は大した量ではない。
偏った摂取(例えば、イクラの握りを何十カンも食べるとか)さえしなければ問題はないと思われる。
むしろ問題なのは、激しいスポーツによって壊れた細胞から生じる尿酸や過剰なアルコール摂取。
プリン体95%オフのビールも、度を超して飲めば、何の意味もないのだ。

エネルギー代謝の異常と言われている高尿酸血症。
【ならないために注意すること】
・肥満(すでに太っているひとは正しいダイエットで適正体重に)
・規則正しく、バランスのよい食事(早食い、ドカ食いを避け、外食偏重を改善)
・酒はほどほどに(特にビールは要注意) ・尿量を増やす(水分多めに!特にスポーツ中は十分に水分を)
・適度な運動
・ストレスをためない

「朝飯抜き、昼食簡単、夜遅い時間にビール片手に高カロリー食。
スポーツをやれば、終わったあとのビール楽しみに水分を控える」などという行為をくり返せば、ほどなく高尿酸血症の洗礼を受けること間違いなし!

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痛風の症状

ある日突然、激しい関節痛の発作が起こります。
関節痛は足の親指の付け根の関節に起こるものが多く、約70%に達します。 時に、足、ひざの関節が痛むことがあります。
激痛のある部分は赤く腫れ、押しても痛みます。


頭痛咳

【経験則】
ほとんどの場合、発作は足の親指の付け根から起こるが、時間の経過とともにほかの指や足の甲、アキレス腱付近、それに足の裏という風に、足全体が痛くなる。
赤く腫れるのはもちろん、熱を持つのも特徴。 強烈な痛みと腫れのため、靴は履けない。
足を地面につけることもできないので、場合によっては松葉杖を使うことになる。 両足に発作が起きた時は、車イスに頼るしかない。

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痛風の治療

痛風の発作時にはコルヒチンを服用します。
痛みがおさまれば、血液中の尿酸を正常域に保つため、尿酸を尿中に排泄させる薬(プロベネシド)や、尿酸がつくられすぎるのを抑制する薬(アロプリノール)などを使います。
そのほか、尿量が1日2リットル以上になるように、水分を多くとります。
尿をアルカリ性に保って尿酸を排泄させやすくするために、重曹も1日3~5g使います。

【経験則】
コルヒチンは劇的に効くが、副作用(主に下痢)も強いので、最近はあまり処方してくれない。
ボルタレンなど、他の消炎鎮痛剤をを処方されることが多いようだ。
副作用を気にしなけれは、痛みを強く訴えて、コルヒチンにしてもらったほうがいいと思う。うそのように痛みがひく。
*現在、コルヒチンは主に発作の予防に使われているようだ。発作時は非ステロイド性の消炎鎮痛剤が主流になっている。

対症療法として、患部を冷やすのも有効。
インドメタシンなどの消炎鎮痛系の湿布がおすすめだが、普通の湿布薬でも気休めにはなる。
また湿布がないときは、少々乱暴だが、氷を入れたバケツにで足ごとつっこんで冷やすのも効果がある。
(ただしほどほどに・・・あまりの冷たさに痛さを忘れるだけなのだが)

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痛風の経過と合併症

痛風と診断され、治療が正しく行われていれば、再発作はほとんどありません。
しかし痛みの発作がなくても、尿酸を正常に保つ治療は、一生続けなければなりません。 無治療のまま放置すると、再発作をくり返したり、手の関節や腎臓に尿酸結晶がたまってきます。
関節の結晶は少しずつ大きくなり、手の運動が不自由になるばかりでなく、関節が破壊されて変形してきます。
腎臓に尿酸結晶がたまると腎臓の働きが悪くなり、尿毒症になることもあります。
尿路結石や心筋梗塞も起こしやすくなるので、医師の管理は終生受けるべきです。


【経験則】
高尿酸血症になったら、医者とのつき合いが一生続くことになる。
定期的(ひと月1回ぐらい)に採血・診察を受けることになるので、ある意味いい「一病」かもしれない。
定期的に医者に会っていれば、自分のホームドクターとして、色々相談できて重宝なのだ。
いい医者に当たったら、できるだけ長くつき合うようにしよう。

では、いい医者とは・・・
慢性病の治療では、ある程度患者の自主性を尊重するような医者がいいと思う。
だって、アレもダメ、これもダメと言われたら、何のために生きているのか分からなくなるのだもの。

日常気をつけることは、適度な運動とこころの平安。と言っても、働き盛りには無理だろうが・・・
まあ、あまり攻撃的にならない努力ぐらいはしてみては? 尿酸値が安定するはず。

それから食事療法は、あまり気にしないほうがいい。QOLは大事にすべきなのだ。ただし、バカ食い、ドカ食い、エネルギー過多には十分気をつけよう。
痛風なりたてのひとは、とにかく医者の言うことをきいて、尿酸値を安定させること。 発作がきても何とかなると思って、薬の服用をいい加減にしていると、いつまで経っても尿酸値が安定せず、プチ発作を起こし続けたり、合併症を起こしたりすることになる。

主な合併症
・腎障害(痛風腎)
・糖尿病 ・高血圧症、動脈硬化
・高脂血症
・尿路結石
・虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)
・脳血管障害(脳出血、脳梗塞}

蒼々たる?合併症である。痛風で死ぬことはないけれど、合併症は危険がいっぱい!

引用は、主婦と生活社「最新家庭の医学百科」、主婦の友社「よくわかる最新医学 痛風」から。
2004.4

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